中国茶器・陽飛

肉桂と水仙

武夷山茶区には「肉桂の香、水仙のまろやかさ」と言われています。水仙と肉桂は岩茶の当家品種(武夷岩茶の伝統的な、主要品種ということを指します。)と公認されます。岩茶を飲む時に、何種類を飲み比べると、それぞれの区別と特色を感じでき、岩韻である「岩骨花香」(「岩韻」というのは良質の武夷岩茶のみにある特別な芳醇でまろやかな味、後味が持続し深い味わいがあります。その中で、口当たりとまろやかさは中国語で「骨」とも呼ばれます。)も味わえます。

水仙の味はあっさりして、薄く長続きします。香は心を込めないと嗅げません。お茶の仙女のようで、感じたと思うとすぐなくなります。肉桂は「奇香異質」と言われ、シナモンの香に似ています。淹れると、香りが高く濃く、刺激さも持っています。茶湯を飲む瞬間に軽く苦味を感じますけれども、甘く長く続く後味がすぐ感じられます。

あるブログで、肉桂と水仙を「覇王別姫」(中国秦末時期、楚覇王項羽(男性)と虞姫(女性)の愛情を演じる京劇名です。)に例えて、味わいます。

初めて肉桂を飲む時、一瞬にして苦味のかかったカラメルの独特な魅力に征服されました。そして、喉から出て来た後味がまろやかで長続きします。それは、「力抜山xi気蓋世」の項羽を連想させます。

その後、水仙も飲みました。その柔らかさ、肉桂と同様の名声、また武夷山にある愛情伝説で、水仙は虞姫だと思います。

「政権を握るのが好き、もっと美人を愛しています。」項羽と虞姫の愛情は千載に伝えられています。項羽の強敵である劉邦(漢代の開国皇帝)は政権を握った後、項羽の英勇に感服しました。項羽が書いた「垓下歌」(垓下は項羽が劉邦の率いる軍に取り囲まれ,敗北が決定的になったところです。)は、さらに語り継がれ称賛されました。

力抜山xi気蓋世 時不利xi zhui不逝 zhui不逝xi可奈何 虞xi虞xi奈若何 (xiは中国語の一つの助詞で、感嘆するときに発する「ああ」と同じような意味です。)zhuiは中国語の中に馬の事を指します。)

  

 この詩の意味:私は誰も三舎を避ける勢いを持っていますけれども、時勢不利です。その為、駿馬も疾駆できません。疾駆できないとどうすればいいですか。虞姫は?

武夷山でお茶を作る先人の心の中にも同じ感慨があるか、千載の英雄美人の魂を大自然に託したような、仙境のような環境に育れた肉桂と水仙は人間が自然からもらった素敵なプレゼントだと思います。

肉桂は灌木型中葉種で、乾茶の外形がしっかりして、香が高く、明らかなシナモンの香があります。肉桂の香りというのは、分類がすこし複雑です。最も代表的な玉桂香(肉桂の元の名前は「玉桂」だと言われます。お茶の香は玉桂の花香に似ていて、シナモンの刺激性がないので名づけられました。)以外に、少し明らかな木の香(特に老叢)、花果香、カラメルの香とミルクの香などもあります。

水仙は小喬木型大葉類で、柔らかく長続きする、明らかな蘭の香があります。水仙の最大優勢というのは、まろやかな味があります。良質な陣年水仙(数年及び数十年歴史を持っている水仙)はよく保存すると、後発酵茶に似ている特色が出て来て、このまろやかさはプーアル茶に勝るとも劣らないです。

武夷山茶区には、人々はよく水仙と肉桂を同一に語り、「肉桂の香、水仙のまろやかさ」という言い方もあります。種類でいうと、伝統的な作り方で作られた肉桂と水仙は乾茶で見分けやすいです。一般的に、加工済みの水仙の乾茶の外形は肉桂より少し大きいです。それに、商品茶としての加工済みのお茶が飲むとすぐ判断できます。以上に説明させて頂いた通り、肉桂の香は高く、刺激性が強く、水仙の香はもっと柔らかい感じがあります。

良質な肉桂と水仙は、一般的に簡単に分けられません。老叢(数年の歴史を持っている茶樹)である肉桂と水仙は、高い香、まろやかさ、強い後味という同じ特徴を持っています。牛欄坑肉桂のまろやかさは水仙に負けなく、香の高さも肉桂に負けないです。このような微妙な区別は、プロの角度で淹れた茶葉を見分けないと、多年経験があるプロでも間違える事もあります。

岩茶が人々を魅了するもう一つの所は、淹れ方の変化により茶湯の味が違います。覇王と虞姫の比喩にして、各9グラムの茶葉を100−110mlの蓋碗に入れます。肉桂は「高衝」(高い所にお湯を注ぐことを差します。)で淹れて、少し待っていると「覇王」の勢いが完全に表現され、後味が速く強いです。水仙は「低斟」(低い所にお湯を注ぐことを指します。)で淹れて、早く茶湯を出して、高く長続きする香があります。逆にして、「低斟」で肉桂を淹れると、英雄もやさしいという感じがあります。「高衝」で水仙を淹れると、心強い女性の姿勢が見えます。

肉桂と水仙は、私の心の中で、生死を共にした英雄と美人です。